法改正後の運用例 鉄骨編

2009.08.07

「鋼構造塑性指針」にて塑性ヒンジ付近では、横座屈によって全塑性モーメントの低下が

起きないよう横方向に補剛材を設ける必要があると書かれ、一様な曲げモーメントを受け

る長さlbのH鋼材の弾性座屈を起こすモーメントMcrの定義としてlbdf/Afが

小さい範囲では


              Mcr/Mp=(18181/σy)/(lb/iy)^2    5−7式


と定義されています。横補剛材検討式にiyが関係するのは上記式からと思えます。

lbdf/Afが大きい範囲では


              Mcr/Mp=(1198/σy)/(lbh/Af)      5−8式

となり、lbh/Afで支配される式となっています。


塑性域がどの範囲で起こるかは、H鋼に存在する最大残留応力を考慮して曲げ

モーメントによりフランジに生じる応力が(0.65〜0.6)σyを超えれば塑性域が

発生し始めると書かれています。


Y軸にMcr/Mp、X軸にlbh/Afとした横座屈強度グラフ(実験式)では

     lbh/Afが300までは Mcr/Mp=1

     lbh/Afが1000までは一次関数でlbh/Afが1000の時にMcr/Mp=0.5

     lbh/Afが1000を超えると2次関数となっています。


ここから下記の式が導かれています。



0≦lbh/Af≪300     Mcr/Mp=1.0                        5.9−a式


300≦lbh/Af≪1000  Mcr/Mp=1−0.00071(lbh/Af−300)      5.10−a式


lbh/Af>1000       Mcr/Mp=500/(lbh/Af)                5.11−a式


又、横補剛材の強度、剛性は塑性ヒンジの必要な回転容量を保つ為に


0.5≪Mmin/Mp≦1.0の時      lbh/Af≦250かつlb/iy≦65     5.17−a式

         Mmin:補剛材で拘束されている区間の絶対値が小さいモーメント


と決められています。